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#14 小学校の教科担任制について

今、小学校の教科担任制が話題になっていますね。

 

私の勤めている学校では、高学年が教科担任制的なことをしています。(うちの学校では教科担任とは言わずに、「専科制」と言っています。要は、ガッツリ交換授業をするというスタイルです。)

私が来たときには専科制でやっていたので、かれこれ5年以上は続いています。

 

 

そして、私は今年で4度目の専科制を経験しています。今日は、これまで専科制をやってきて感じたメリットやデメリットをまとめておこうと思います。これから始めようとしている方の役に立てられたら幸いです。

 

 

 

 

専科制を始めるにあたって、まず始めに決めることは、「誰が何の教科を担当するか」ということです。

 

例えば下図のように割り振ります。

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それぞれの先生が授業をする時間数が合うように、教科を組み合わせます。この図は5年担任を想定していて、授業する時間数を、社会の授業時数の100時間に合わせています。

 

担当教科を決めるときのオススメの方法は、専科の教科の中に理科と社会を入れて、その理科・社会の授業時数(理科と社会はほぼ同じ時間数なので)に合わせて残りの教科を当てはめていくと、組みやすいように思います。

 

そして、自分の担当教科は、全てのクラスで授業を行います。時間割の組み方は、次の図のようになります。

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このように授業を入れると、専科の授業1セットが終わります。(4時間続きで入れる必要はないですが)

 

この場合、年間100時間する想定にしていますので、週に3セットほど、専科の授業が行われます。

 

 

教科担任制と聞くと、空きコマができるという感覚をお持ちの方もおられますが、交換授業なので、空きコマはうまれません。(担任+αの先生が入ってくださったら空きコマができます)

 

 

 

 

この専科制のメリットとデメリットは、次のようなものがあると考えています。

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【メリット】

〇 1回考えた授業を使いまわせる

これが、専科制の最大のメリットだと思います。(「使いまわす」という言い方は悪いですが・・・)

 

4クラスの学年で専科制をした場合、1回授業を考えたらそれが4回使えるということになります。

週30コマ授業があったとします。小学校の場合、すべて自分で授業をするとなったら、30コマ分の教材研究が必要ですよね?それが、なんど21コマ分でよくなるのです。

 

そして、同じ授業を複数回できるので、授業のたびに修正して、後半のクラスの授業では質があがります。(最初のクラスごめんなさい・・・。なので、授業を組むときには、「いつも1組が最初に社会をする」というようにならないように組んだ方がいいです。)

 

 

〇 やらない教科がうまれる

自分が担当しなかった教科については、1年間教えることがありません。それだけ、教材研究の時間を節約できるのは大きいですよね。

 

ちなみに、私は今の学校で

1回目・・・国語、社会、音楽、図工 ノータッチ

2回目・・・社会、外国語、音楽、図工 ノータッチ

3回目・・・社会、音楽、外国語 ノータッチ

4回目(今)・・・社会、音楽、図工、保健、習字、国語の小単元 ノータッチ

 

というようになります。

 

 

〇 複数の目で子どもを見ることができる(学級崩壊しにくい??)

複数の教員が立ち代わり教室に入るので、学級経営がうまくいかない先生がいても、他の先生がカバーできます。私は女子のトラブルが苦手なんですが、同学年の先生がその様子を見ながらアドバイスをくれたり、解決してくれたりすることがあります。

 

 

〇 学年全体で育てているという意識が生まれる

全クラスに入って授業をするので、我がクラスだけがよければいい的な発想がなくなります。学年みんながかわいく見えてきます。

 

 

〇 学年全員の顔と名前が一致する

もちろん、全クラスで授業をするので、全員の顔と名前が一致します。そして、卒業した後も、中学校の運動会とかを見に行った時に、全クラスの子と話ができる。職場体験に来た中学生全員と話ができる。学年全員が教え子。これってすごくないですか??

 

 

 

【デメリット】

△ 授業を組むのが大変(特に4クラス以上)

学校行事を考慮したり、TTの先生が入る時間を調整したりと、全クラスの専科の計画を立てるので大変。そして、クラス数が増えれば増えるほどこの調整が大変になっていく。また、初任者の先生が学年にいるときには、初任研の計画も含めて考えなければならないのでさらに複雑になる。

 

うちの学校は、算数TTの先生が時間割を組んでくださっているのでとても助かっています。もし、時間割を組んでくださる先生がいなかったら・・・考えるだけでも恐ろしいです。

 

 

 

△ 自分のクラスに、ほぼいない日がある(特に4クラス以上)

学校行事が多い日に専科があったりすると、

 

「学校行事2時間、専科で3時間他のクラス、今日は自分のクラスで1時間(算数)しか授業がないなー」

 

みたいなことになります。(結構頻繁に)自分のクラスにじっくり入って、学級経営したい!!という時期にはつらい制度かも。

 

 

 

△ 柔軟な時間割が組みにくい

「今日はメダカの観察15分だけやって、終わり次第算数をしよう!」とか

「今日の国語、、、キリが悪いから、次の時間最初の10分間だけ延長したい!」とか

そういう時間の使い方は基本的にできなくなります。

1時間1時間が勝負です。

 

 

それとか、学びの個別化と協同化が進んで、

「1週間の学習計画を立てさせて自分たちで学ばせよう」とか

「うちのクラスは国語をやってる人のとなりで算数やってます。そのとなりでは社会のノートまとめてます。」のような授業スタイルの人にとって、専科で時間割の制限が多くなるのは耐えられないことだと思います。

 

 

 

 

 

他にも、細々としたメリット・デメリットはあるのですが・・・ 

 

【結論】

〇 3クラスで、時間割を立ててくださる人を確保できる場合は、専科制(教科担任制)の恩恵をかなり受けられると思います。オススメです!

 

〇 4クラス以上(5クラスは経験したことがないのですが・・・)は、専科の時数の圧迫感や自分のクラスに入れる時間の少なさに、やりづらさを感じる人も多いのではないかと思います。

 

 

ちなみに私は、これまで学年の先生方に恵まれたということもあり、専科制で学年を回していくのは好きです。「学年みんなで協力して子どもたちを伸ばそう!!」という感じになるのがいいですね。

 

もし、これからやってみようと思われている方がいましたら、参考にしてみてください。